マッチングアプリのビジネスモデルを解説

マッチングアプリのビジネスモデルを解説

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恋人を探している若い男女に人気のマッチングアプリ。

マッチングアプリはスマホ時代に登場した新しいネットサービスです。
出会い系サイト等と比べると、最初から犯罪予防策が考えられていたりしていて、イメージがかなり良い(とくに女性から)という特徴があります。

イメージが良いせいか、たくさんの有名企業がマッチングアプリ市場に参入しています。
そして、各社が膨大な広告費用を投入するなど、かなり激しいシェア争いを繰り広げています。

この記事では

  • マッチングアプリのビジネスモデル
  • マッチングアプリのお金の流れ

マッチングアプリビジネスへの参入を考えている方だけでなく、利用者の参考にもなると思います。

この記事を書いた人

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武部真也(shin)

2011年から50個以上のマッチングアプリを使い、アプリを調査・体験している。体験から得た知識を活かし、マッチングアプリに関連する記事を累計数百本執筆。特に興味がある分野は「最新テクノジー×出会い(人間関係)」。
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マッチングアプリは「男女のマッチング」を仲介するビジネス

マッチングアプリは

  • 女性との出会いを求める男性
  • 男性との出会いを求める女性

この両者を仲介するプラットフォームです。
つまり
「男女のマッチング」
を仲介するビジネスです。

マッチングアプリは人間の3大欲求と言われる

  • 食欲
  • 睡眠欲
  • 性欲

この3つのうち、性欲を刺激するサービスと言えます。

性欲は人間にとって根本的で大きな欲求です。
なのでマッチングアプリには

  • 18歳以上の男女すべてがサービスの対象となりうる
  • 世界中で利用される可能性がある
  • 景気の影響を受けにくい

など、事業として魅力的な要素がそろっています。

じっさい、日本のマッチングアプリ業界トップのペアーズの運営会社が100億円以上の規模(推定)でアメリカの企業に買収されるなど、高く評価されています[1]Tech Crunch:マッチングサービス「pairs」運営のエウレカが米IAC傘下に—The Match Groupが買収
ペアーズは台湾でも成功しているようですね。

アプリの仕組み・機能はSNSと似ている

マッチングアプリはSNSの一種です。
なので、SNSの代表格とも言えるFacebookと機能が似ています。

例をあげると

  • 個別のプロフィールページ
  • メッセージの送受信機能
  • 足跡機能

などはよくあるSNSと共通する機能です。
ただ、マッチングアプリには「マッチング機能」があります。
このマッチング機能がSNSとの大きな違いです。

マッチング機能とは

  • 「いいね!」等で異性会員に好意を伝える
  • 「いいね!」を受け取った相手も「いいね!」を返す
  • マッチング成立してメッセージ交換ができるようになる

という一連の機能のことです。
この機能が「マッチングアプリ」という名称の由来となっているくらい象徴的な機能です。

shin

武部真也

ちなみに海外では「Matching App(マッチングアプリ)」と呼ばれていません。TinderやBumbleのようなマッチングアプリは海外では「Dating App(デーティングアプリ)」と呼ばれています。

マッチング機能があることにより

  • いきなり誹謗中傷等のメッセージが届かない
  • 興味が無い異性からメッセージがこない

などのメリットがあり、マッチングアプリの安全性やイメージ向上が効率化に役立っています。
マッチングアプリが若い女性の間で使われるようになったのは、マッチング機能の影響がとても大きいと言えます。

マッチングアプリの市場規模

次は、マッチングアプリの市場規模についてです。
人気マッチングアプリ「タップル」を運営する株式会社タップルの調査では

  • 2018年のマッチングアプリ市場規模:386億円
  • 2019年のマッチングアプリ市場規模:510億円
  • 2020年のマッチングアプリ市場規模:622億円
  • 2021年のマッチングアプリ市場規模:768億円

という市場規模の数字が発表されています。
市場規模は毎年順調に伸びていることがわかります。

マッチングエージェントは今後の市場予測もしています。

  • 2022年のマッチングアプリ市場規模予測:911億円
  • 2023年のマッチングアプリ市場規模予測:1077億円
  • 2024年のマッチングアプリ市場規模予測:1264億円
  • 2025年のマッチングアプリ市場規模予測:1463億円

あくまで予測ですが、こちらも順調に伸びていますね。

市場規模が伸びている理由としては

  • マッチングアプリや出会い系に対しての心理的な抵抗が減った
  • 多くの企業が積極的に市場に参入し、広告などを沢山打っている
  • マッチングアプリが友達作りにも使われるようになった
  • 40代以上でマッチングアプリ利用者が増加

などが考えられます。

他にも、これまで定番だった

  • 出会い系サイトや掲示板サイト
  • 婚活パーティー・街コン
  • 結婚相談所

などを利用していた人たちが、マッチングアプリに流れてきたのも理由の一つです。

婚活パーティー等とは違い、同時にたくさんの異性と並行して話を進められるというのも大きいです。
女性にとって、ひとりの男性だけでなく複数の男性の中から一人を選べるというのはとても大きな魅力だと思います。

マッチングアプリの運営には免許・届け出が必要

マッチングアプリは男女の出会いを仲介するネットサービスです。
なので法律(出会い系サイト規制法)によって、事業者は各地の都道府県公安委員会への届け出が必要です。

よって認可が必要な事業となります。
しかし、認可を得ること自体はそこまで難しくありません。
※サイトではなくアプリなので届け出は必要でないという見方もありますが、真面目に運営している事業者はしっかり届け出を提出しています

アプリ運営会社側から見た出るお金の流れ

ここからは、運営会社の視点で原価や費用となるお金を見ていきます。
あくまでも全体的なことですので、運営会社によって違いはあります。

開発や保守の費用

マッチングアプリはプログラムですので開発費用がかかります。
※システム販売されているマッチングアプリプログラムを購入する、という方法もあります
そして、運営・保守にあたってはサーバー費もかかります。
会員数が多いマッチングアプリなら、画像等のデータ量が多く、さらに会員の滞在時間も長いです。
よってサーバーへの負荷はかなり大きいはずです。

さらに、長く運営していけば

  • デザイン変更
  • 機能の追加開発

なども発生します。
この都度お金が必要になることもあります。

もっとも注意したいのはサーバーの準備と費用です。
平日の夜や土日などの繁忙期にアプリが重いと、利用者が他のマッチングアプリに移ってしまいます。
マッチングアプリは機能面で差別化が難しいです。
だから

  • UIが使いづらい
  • アプリが重い

など、使い勝手の悪さはユーザーにかなりの悪印象を与えると考えておきましょう。

広告宣伝費用は大きな割合を占める

おそらくマッチングアプリ運営にあたって最も負担になるのが広告宣伝費です。
広告宣伝は

  • Twitter・FacebookなどのSNS広告
  • アドネットワークを利用したクリック広告
  • アフィリエイト広告

などを使うことが多いです。

マッチングアプリはSNSの一種なので、会員が少ないと成立しないビジネスです。
よって集客ノウハウがあるかどうか、さらにも独自の集客方法があるか無いか等で事業の成否が分かれます。
理想を言えば恋愛や婚活ハウツー系のオウンドメディアを複数持ち、そこから無料で集客するのがベストですがなかなか難しいようです。

問い合わせ窓口(カスタマーサポート)の人件費

マッチングアプリはBtoCのサービスですので、顧客の数(会員数のことです)が増えやすいです。
そして、会員の中にはネットリテラシーに乏しい若い会員も多いので、CS(カスタマーサポート)への問い合わせが増えます。
さらに投稿された

  • プロフィールの写真や文章
  • 会員同士のメッセージ内容

などに違法なものがふくまれて無いかのチェックが必要です。
さらには全会員に対しての18歳以上の年齢確認も必須となります。

となると、どうしてもCSにまわす人件費が増えやすいです。
基本的にアプリは365日24時間稼働していますので、CSもそれに準じた対応を強いられます。
CSはアウトソーシングすることになると思いますので、「あいみつ」をしっかり取るなどして費用を減らしてください。

ただ、投稿監視の部分はAI(人工知能)によって効率化・コスト削減を図る会社が増えています。
このようなサービスを開発・外注することで費用が減らせるかもしれません。

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アップルやグーグルなどに支払う決済手数料

マッチングアプリの決済方法は

  • アプリ内決済
  • クレジットカード決済

のふたつがメジャーな決済方法です。

このうちアプリストアを使った決済は

  • App Store(Apple)
  • GooglePlay(google)

などの決済システムを使うことになります。
そして、その手数料は両方とも約30%とかなり高額です。
なのでクレジットカード決済の方が手数料が少なくて済みます。

クレジットカードを持っている会員はだいたいかクレカ決済を選択しますが、クレジットカードを持っていない会員はアプリ内から課金します。
よって値付けもクレジットカード決済とアプリ内課金では変えないと成立しません。

入ってくるお金(収益)について

ここからはマッチングアプリを運営して、売り上げとして入ってくるお金について解説していきます。
基本的には、男性の月額有料会員が増えれば増えるほどアプリの売り上げは増加していきます。
ただ会員登録させるだけではダメで、有料会員になってもらわないとお金が発生しませんので注意してください。

マネタイズ方法1、 男性の月額課金

マッチングアプリ運営会社にとって最も重要な部分が男性会員が支払う月額課金による収益です。

ただ登録させるだけでなく、会員が有料会員化してはじめて収益が発生します。
平均では月額3,000〜5,000円前後のアプリが多く、後発のアプリは料金を安く設定する傾向があります。
月額課金してくれる会員を増やすことはとても重要ですが、マッチングアプリという性質上パートナーとなる異性を見つけると有料会員は退会もしくは休会してしまいます。
安定した収益を求めるなら、恋人を作りたいと考えている男女を常に入会させる必要があります。
とくに、お金を使う人(男性)の満足度を高めるためにも、女性会員を常に入会させないとサービスはすぐに廃れてしまいます。

マネタイズ方法2、 オプション料金によって客単価を上げる

マッチングアプリによって呼び方は違いがありますが

  • ポイント追加料金
  • プレミアムプラン

などの名称で、月額課金以外にも追加で課金させる仕組みが用意されています。
どちらも追加料金を支払った会員が異性とよりマッチングが成立しやすくなる機能です。
オプション料金を支払ってもいいと会員に思わせるには、アプリ自体にかなりの魅力が必要なのは言うまでもありません。

会員(利用者)から見たお金の流れ

ここからはマッチングアプリに登録した会員側から見たお金の流れを解説していきます。
男女が出会うアプリということで登録や課金にあたって不安を感じるかもしれませんが、人気のあるマッチングアプリを利用すればサクラ詐欺等にひっかかってしまうことはありません。
それに、すべての会員に対して公的書類を使った18歳以上の年齢確認を実施していますので安全性も高いです。

男性は月額課金性

男性がマッチングアプリを使って女性と連絡先を交換するためには月額有料会員にならなくてはいけません。
毎月3,000円〜5,000円ほどの出費を計算しておきましょう。
料金については、最初から半年や1年単位で契約すれば単月の金額は大幅にディスカウントされます。
ただし、有料会員になったからと言って必ずデートできたり恋人ができる訳ではなく、個々の能力や努力次第で成果には大きな差が出るようです。

女性は基本的に完全無料

女性は男性とは異なり無料でマッチングアプリを利用できます。

SNSは女性無しでは成立しません。
Facebookのような出会い系ではないSNSでさえそうなのです。
だからマッチングアプリ運営会社はとにかくたくさんの女性を集める必要があります。
極端なことを言えば、女性会員さえたくさんいれば男性会員は自然と流入してきます。
女性会員を増やすにあたって「完全無料」という言葉は大きなアピールポイントとなるので、おそらくこれからも女性会員は無料のままでしょう。

追加オプションで出会える確率が上がる

追加オプションについては男女ともに用意されています。
有料の追加オプションを利用することによって出会う機会が増加します。
オプション機能は

  • どうしても一定期間内に恋人を作りたい会員
  • 登録したけど思ったような成果をあげられなかった男性

などにとっては重宝する機能です。
言い方を変えればお金で機会を買えますので、必要経費を割り切って使ってみましょう。

マッチングアプリ市場は伸びているけど既存アプリが強く競合が多い

ここまで簡単にビジネスモデルやお金について解説しましたが、見てわかるように機能的には目新しさはありません。
マッチングシステム以外は既存の出会い系サイトとそれほど違いはありません。
マッチングアプリが登場する以前は
ネットでの出会い=出会い系サイト=サクラ詐欺
という印象が強かったので、この印象を払拭したことが現在の大成功につながっているのかもしれません。

市場として年々大きくなっていますが、大手企業がしのぎを削っている現在参入して一定のシェアを確保することがどんどん困難になってきているようです。
スマートフォンのアプリというデバイスでは既存企業が強いので、次の端末、例えばVRやAR向けの端末で先行投資してシェアを奪うという作戦が有効的かもしれません。