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アメリカの「FTC(連邦取引委員会)」は2019年9月25日に
- Match(マッチドットコム)
- OKCupid
- Tinder
- PlentyOfFish
などの人気マッチングアプリを運営するマッチグループを、サクラを使っているとして提訴しました[1]FTC:FTC Sues Owner of Online Dating Service Match.com for Using Fake Love Interest Ads To Trick Consumers into Paying for a Match.com Subscription。
ちなみに、サクラを指摘されているのはMatch.comのみです。
マッチグループはFTCに指摘された内容を公式ブログで否定しています。
Match.comは日本でも利用できるマッチングアプリです。
もしMatch.comに本当にサクラがいるとしたら、日本のマッチングアプリ利用者の間でも大きな衝撃が走りそうです。

アメリカの連邦取引委員会(FTC)の指摘内容
Match.comへの登録は男女ともに無料。
しかし
- 異性の詳細プロフィール確認
- メッセージの送信
などの機能は有料会員にならないと使えません。
このあたりの仕組みは日本の人気マッチングアプリと同じですね。
アメリカの連邦取引委員会(FTC)は、Match.comはこの仕組みを利用し、サクラを使って有料課金へと誘導したと主張しています。
FTCによると、2016年6月から2018年5月までの間にサクラと考えられるプロフィールからメールを受け取った後、Match.comの有料会員になった人の数は約50万人[2]https://www.buzzfeednews.com/article/clarissajanlim/match-users-ftc-lawsuit-scammers。
かなりの数の会員がサクラ(とFTCが指摘しているユーザー)によって誘導されていたようです。
具体的には、Match.comに登録した会員に対して
- 無料会員登録したら異性からいいね!やメール等が届く
- 「あなたに興味を持っている人がいる」という広告
この2つの方法で無料会員を有料会員へ誘導したとFTCは指摘しています。
それぞれの方法を解説します。
無料会員登録したら異性からいいね!やメール等が届く
ある男性が恋人が欲しくなり、Match.comに登録してプロフィールを作成したとします(無料会員のままでも自分のプロフィール作成はできます)。
無料会員のままだと、女性の詳細プロフィールの確認やメッセージ送信ができません。
これだと誰とも出会えません。
こんな状況で、男性のもとに美しい女性からメッセージが届いたとします。
そうしたら、お金を払ってでもメッセージの中身を見たいと思うはずです。
FTCはこの「美しい女性」を「偽物のアカウント」、日本風にいうと「サクラ」だと指摘しています。
FTCによると、Match.comに無料会員登録すると異性の会員から
- likes(いいね!)
- favorites(お気に入り)
- emails(メール)
- instant messages(インスタントメッセージ)
などの行為が行われているようです。
出会い系的なサービスに登録した途端に魅力的な異性からメールが届いたら、お金を払ってでも中身を読みたいと思うのものです。
じっさい、日本のサクラがいる出会い系サイトや出会い系アプリはこの方法を実践し、収益を生んでいます。
「あなたに興味を持っている人がいる」という広告
FTCの主張によると、Match.comでは無料会員がいいね!やメールを既存会員から受け取ったら、その会員に対して「あなたに興味を持っている人がいる」という広告を出して有料会員化を促しています。
もし、メールを送ったりいいね!をした人がサクラだとしたら、確かに悪質な行為です。
Match.comに無料会員して、すぐに異性からメッセージやいいね!を受け取ったら、中には「有料会員になればすぐ出会えるのかな?」と考える人がいるはずです。
そのような人に対して、Match.comではサービスのなかに「You caught his eye(あなたは彼の注意を惹きました)」という広告が表示され、有料会員への課金を促している、とのことです。
FTCはMatch.comに登録した人の中で、25〜30%にあたるアカウントはさまざまな種類の詐欺を行うためのアカウントだと主張しています。
さらに、2013年から2016年の間にユーザーが受け取ったお気に入りやメッセージの半分以上が、不正によるものだと特定されたアカウントからのものであるとも主張しています。
もしこれらがすべて意図的なだとしたら、かなり悪質な行為です。
あわせて読みたい
【初心者向け】悪質出会い系にいるサクラの目的や特徴・見分け方を解説
Match.comを運営するマッチグループはFTCの主張を否定
Match.comを運営するマッチグループは公式ブログにて、FTCの主張を「根拠がない」として完全に否定しています。
サクラを使って会員を有料会員への誘導しているどころかテクノロジーの力などを駆使して
- スパム
- ボット
- 利用規約に違反した利用者
などを積極的に排除し、顧客満足度を高めていると主張しています。
具体的には
- 不正だと思われる会員が登録したら、登録から4時間以内に85%の会員がアカウント停止している
- 不正だと思われる会員が登録したら、登録から24時間以内に96%の会員がアカウント停止している
このように、迅速に悪質な会員を把握し、アカウントを止めてユーザーの被害を予防していると主張しています。
アメリカ連邦取引委員会(FTC)の主張には根拠がないとも主張しています。
そもそもFTCが「サクラからの勧誘ではないか」と主張している
- インスタントメッセージ
- お気に入り
などの機能はすでに削除されています[3]インスタントメッセージは2年以上前、お気に入りは1年以上前に機能を削除済みとのことです。。
あわせてマッチグループは、FTCが少ないデータを「チェリーピッキング」、すなわち自分たちに有利なように解釈して訴訟を行なっていると主張しています。
Match.comのサクラ疑惑の真実は訴訟で明かされる
Match.comを運営するマッチグループはIAC(InterActiveCorp)という会社の傘下で、IACはアメリカの巨大インターネット企業です。
マッチグループ自体も株式を上場しており、FTCによる提訴を受けて一時的とはいえ株価が大きく下落しました。
マッチグループがこのような状況を看過するはずもなく、訴訟の対策をしっかり行い、法廷でさまざまな主張がやりとりされるでしょう。
訴訟の結果次第では、日本で利用できるマッチングアプリにも影響が出るかもしれません。
参考記事・文献
↑1 | FTC:FTC Sues Owner of Online Dating Service Match.com for Using Fake Love Interest Ads To Trick Consumers into Paying for a Match.com Subscription |
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↑2 | https://www.buzzfeednews.com/article/clarissajanlim/match-users-ftc-lawsuit-scammers |
↑3 | インスタントメッセージは2年以上前、お気に入りは1年以上前に機能を削除済みとのことです。 |